すずき行政書士法務事務所は横浜市中区石川町の元町商店街に事務所を構えており、事業承継に伴う許認可申請、法人設立、遺言書作成などのお手伝いをしています。
今回のコラムは、「事業承継計画書」はなぜ必要なのか?」についてです。
はじめに
中小企業の事業承継は、「いつかやらなければ」と思いながらも、日々の業務に追われて後回しになりがちです。しかし、後継者の育成や許認可の承継、自社株式の整理など、事業承継には時間がかかる要素が多く、ある日突然のバトンタッチではうまくいきません。
その準備の土台となるのが「事業承継計画書」です。これは、会社の現状や後継者、承継方法、必要な手続きなどを整理し、事業の未来を“見える化”するための大切なツールです。
事業承継計画書とは
計画書には、主に次のような内容を整理します。

これらを整理することで、経営者自身の頭の中がクリアになり、関係者との認識も揃います。
日本政策金融公庫のHPで公開されている事業承継計画書をご紹介します。


建設業での記入例も公開されているのでをご紹介します。
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▶事業承継計画書/日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
許認可の承継は特に注意
建設業、運送業、産業廃棄物収集運搬業など、許認可が必要な業種では、承継の方法によっては「許可が引き継げない」ケースがあります。
- 法人の代表者変更で済む場合
- 新規許可が必要になる場合
- 事業譲渡では許可が承継できない場合
など、業種ごとにルールが異なります。事業承継計画書に許認可の扱いを明記しておくことで、承継後の営業停止リスクを避けることができます。
事業計画書を作成するメリット
事業承継計画書を作成することで、次のような効果が期待できます。

事業承継計画書に盛り込む5つの柱
- 基本方針: なぜ承継するのか、どのような会社を目指してほしいのか(経営理念の承継)
- 経営環境の分析: 自社の強み、弱み、市場の動向(SWOT分析など)
- 承継方法の確定: 親族内承継、従業員承継、M&Aのいずれか
- 具体的なスケジュール: 5〜10年スパンでの引退時期と教育期間
- 資金・株式の対策: 自社株の移転時期、納税資金の確保、個人保証の解除計画
具体的なスケジュールを明確にするためには、事業承継表を作成します。
中小企業庁の「事業承継ガイドライン(第3版)」に掲載されている10カ年版と5カ年版の事業承継計画表をご紹介します。
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それぞれの計画表の記入例も公開されているのでをご紹介します。
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「事業承継ガイドライン(第3版)」中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html
様式は独立行政法人中小企業基盤機構のサイトから入手可能https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/succession1/index.html
事業承継計画書の作成フロー
- 経営者の想い・課題を丁寧に確認
- 事業内容・組織体制・財務状況を把握
- 許認可の有無と承継可否をチェック
- SWOT分析等で自社の強み・弱みを整理
- 株式・資産・契約関係の棚卸し
- 後継者候補の状況を確認
- 親族内・親族外・M&Aの選択肢を比較
- 後継者候補の適性・育成方針を整理
- 株式・資産の承継方法を検討
- 許認可の承継方法を確定(名義変更/新規取得)
- 現状分析・承継方法・育成計画を文書化
- 許認可・契約関係の整理を反映
- 税理士・社労士・金融機関と内容を調整
- 必要に応じて補助金活用も検討
- 経営者・後継者と最終確認
- 実行スケジュールを確定
まとめ
事業承継計画書を作ることは、単に手続きを整理するだけではなく、これまで積み重ねてきた事業の価値や、これからの方向性を見つめ直す機会にもなります。
「まだ先の話」と感じていても、少しずつ整理を始めることで、経営者ご自身の考えが自然と形になり、次の一歩が見えやすくなります。
最初から完璧な計画を作る必要はありません。 まずは、現状や想いを書き留めるところからはじめましょう。

