当事務所は、横浜市中区石川町の元町商店街に事務所を構えており、法人設立、許認可申請、遺言書作成、事業承継相談などのお手伝いをしています。
今回のコラムは、「相続が「争族」になる3つの典型パターン」についてです。
はじめに
「遺言書なんて、うちは財産も多くないし、子どもたちの仲が良いから必要ないよ」と思っていませんか?
実は、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割のトラブルで最も多いのは、大金持ちではなく「ごく一般的な普通の家庭」です。そして、「仲が良いから大丈夫」という油断こそが、最大の落とし穴になります。
この記事では、なぜ仲の良かった家族が相続をきっかけに揉めてしまうのか、よくある3つの「典型パターン」と、それを防ぐ遺言書の重要性を解説します。
「財産が少なく、仲が良い家庭」ほど揉めている?
遺産トラブルの約8割は「資産5,000万円以下」
最高裁判所の『司法統計』によると、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割トラブルのうち、約75%以上が『資産5,000万円以下』のケースです。
さらに、全体の3割以上は『資産1,000万円以下』のご家庭でのトラブルです。
このデータからも、相続問題は『お金持ちだけの問題』ではないことが分かります。

「お金が欲しい」ではなく「話し合いがつかない」
仲が良いからこそ「誰かが仕切る」ことをせず、なんとなく先延ばしにしているうちに、それぞれの「言い分」や「事情」がすれ違っていきます。
相続が「争族」になってしまう3つの典型パターン
パターン①:主な財産が「実家(不動産)」しかないケース
実家を売って均等に分けるか、誰か一人が住み続けるかで意見が割れます。
「実家を売りたくない相続人」と「現金で等分に欲しい相続人」の間で意見が対立し、それぞれ仲が良くても妥協点が見つからなってしまう。
パターン②:子どもの「配偶者(妻や夫)」が登場するケース
兄弟姉妹の仲は良くても、それぞれの配偶者が「あなたもちゃんともらわないと損だよ」「将来の教育費が必要でしょ」などと口を出すことで、一気に話が複雑化・長期化してしまう。
パターン③:生前の「介護や援助に格差」があるケース
「私はお父さんの介護をずっと頑張った」「あいつは家を建てるときに頭金を出してもらった」など、過去の不満や貢献度が、親が亡くなった瞬間に一気に噴出し、感情的な対立に発展してしまう。
「遺言書」をきちんと書いておくだけで、解決する
遺言書は「親からの最後の思いやり」
「実家は長男に引き継ぎ、その代わりに長男は妹に〇万円を支払うこと」
「これまで介護をしてくれた長女に○○を残す」
このように遺言書で指定しておけば、子どもたちは無駄な話し合いで傷つけ合う必要がなくなります。
付言事項(ふげんじこう)で家族にメッセージを残す
遺言書には、財産の分け方だけでなく「なぜこの配分にしたのか」「これまで仲良くしてくれてありがとう、これからも支え合ってほしい」というメッセージを残すことができます。
これが、子どもたちの感情的な対立を収める最大のブレーキになります。
ただし、付言事項には法的拘束力がないので注意が必要です。
まとめ
相続トラブルは、家族の仲が悪いから起きるのではなく、「分けにくい財産(実家など)があること」や「明確なルールがないこと」から起きてしまいます。
ご家族の仲の良さをこれからも守るために、元気なうちから遺言書を準備しておくことが大切です。

