当事務所は、横浜市中区石川町の元町商店街に事務所を構えており、法人設立、許認可申請、遺言書作成、事業承継相談などのお手伝いをしています。
神奈川県内で会社や事業を経営されている皆様、後継者へのバトンタッチ(事業承継)の準備は進んでいますでしょうか。
「そろそろ子どもに会社を譲りたいけれど、自社の株価がわからない」
「従業員や外部の第三者に経営を引き継ぎたいが、初期費用が重荷になっている」
こうした悩みを抱える県内の中小企業者・小規模事業者の強い味方となるのが、「神奈川県事業承継補助金」です。
国の補助金に比べて知名度は低いものの、「株価算定」や「引き継ぎ後の初期人件費」といったピンポイントな経費を最大100万円までサポートしてくれる非常に使い勝手の良い制度です。
本コラムでは、本補助金の概要やメリット、申請時の注意点まで、行政書士の視点で分かりやすく解説します。
神奈川県事業承継補助金とは?
この補助金は、承継の形に合わせて「親族承継枠」と「第三者承継枠」の2つの枠に分かれます。「第三者承継枠」では、さらに3つの支援枠に分かれます。
- 親族承継枠(子どもや親族への引継ぎ)
- 第三者承継枠(M&A・従業員への引継ぎ) 買い手支援①
- 第三者承継枠(M&A・従業員への引継ぎ) 買い手支援②
- 第三者承継枠(M&A・従業員への引継ぎ) 売り手支援
親族承継枠(子どもや親族への引継ぎ)
親族間で事業を引き継ぐための「事前の準備費用」を支援する枠です
| 対象となる主な支援 | 専門家に依頼して行う「自社株の株価算定支援」 |
| 補助事業の内容 | 親族への事業承継を目的として専門家等と連携する株価の算定に係る取組 |
| 補助対象経費 | 謝金、委託費 |
| 補助上限額 | 20万円 |
| 補助率 | 中小企業者:補助対象経費の1/2以内 小規模事業者:補助対象経費の2/3以内 |
第三者承継枠(M&A・従業員への引継ぎ)
従業員への承継や、M&A(第三者への売却・買収)による引継ぎを支援する枠です。「買い手」と「売り手」のどちらでも活用できます。
買い手支援①:「従業員の雇用維持(人件費)」への補助
| 対象となる主な支援 | 承継に伴う「従業員の雇用維持(人件費)」への補助 |
| 補助事業の内容 | 第三者への事業承継に伴い、譲渡者において常時使用する従業員だった者を引き続き、神奈川県内で雇用する取組 |
| 補助対象経費 | 人件費 |
| 補助上限額 | 100万円 一人当たり月額上限400,000円(小規模事業者は300,000円)で、3か月分まで |
| 補助率 | 中小企業者:補助対象経費の1/2以内 小規模事業者:補助対象経費の2/3以内 |
買い手支援②:「従業員の雇用維持(人件費)」への補助
| 対象となる主な支援 | 専門家に依頼する「デューデリジェンス(資産査定)費用」への補助 |
| 補助事業の内容 | 第三者への事業承継に係る専門家等と連携する取組(デューデリジェンス費用、仲介費用、契約書作成費用等も対する補助) |
| 補助対象経費 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料 |
| 補助上限額 | 100万円 |
| 補助率 | 中小企業者:補助対象経費の1/2以内 小規模事業者:補助対象経費の2/3以内 |
売り手支援:専門家への依頼や「企業価値の算定費用」への補助
| 対象となる主な支援 | 専門家に依頼するや「企業価値の算定費用」への補助 |
| 補助事業の内容 | 第三者への事業承継に係る専門家等と連携する取組(企業価値の算定費用、仲介費用、契約書作成費用等も対する補助) |
| 補助対象経費 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料 |
| 補助上限額 | 100万円 |
| 補助率 | 中小企業者:補助対象経費の1/2以内 小規模事業者:補助対象経費の2/3以内 |
「中小企業者」と「小規模事業者」の要件


公募期間
募集期間:令和8年4月1日(水曜日)から令和9年1月29日(金曜日)まで
※予算がなくなり次第締め切り
補助金交付までの流れ

事前相談から交付決定まで、通常2~3週間かかります。
交付決定された場合は、交付決定通知書が届いた後に、補助事業(交付決定を受けた事業)に着手(発注・契約・登録・申込等)して、補助事業の完了後に実績報告書類を提出します。
実績報告書類の審査により、適正に補助事業が行われたことを確認できた場合のみ、補助金が支払い(振込み)されます。
ここは絶対に見落とせない!申請時の5つの注意点
非常に魅力的な補助金ですが、申請にあたっては行政書士などの専門家でも神経を使う「注意点」があります。
注意点1:事前の相談が必須
申請書を提出する前に、必ず神奈川県への事前相談を行う必要があります。いきなり申請書を送っても受け付けてもらえません。
注意点2:「事前着手」は原則NG
補助金の交付決定が降りる前に、専門家と契約したり、支払いを行ったりした経費は補助対象になりません。必ず「採択・交付決定」を受けてから動き出す必要があります。
注意点3:現金払いは対象外
補助対象経費の支払いは、原則金融機関への「振込み」で行い、証拠(振込明細など)を残す必要があります。現金での支払いは対象外です。
注意点4:補助金を受け取るには実績報告が必要
補助金の交付決定後に、補助事業に着手し、補助事業終了後に実績報告書類を提出する必要があります。実績報告書類が審査され、適性と確認された場合に補助金が支払いされるため、補助事業のための支払いと補助金の入金までのタイムラグには注意が必要です。
注意点5:予算上限に達し次第、受付終了
公募期間内であっても、神奈川県の予算上限に達した時点で受付が締め切られます。「まだ期間があるから大丈夫」と後回しにせず、早めに動き出すことが重要です。
まとめ:事業承継の第一歩は「早めの準備」から
事業承継には、「自社の正確な価値(株価)の算出」や「専門家への相談」などで、どうしても一定の初期費用がかかってしまいます。
今回ご紹介した「神奈川県事業承継補助金」は、そうした経営者様の「はじめの一歩」の負担を少しでも減らし、県内の大切な事業や雇用を次の世代へつなぐために用意された心強い制度です。
予算上限に達し次第終了となる制度ですので、少しでも気になった方は、ぜひお早めに神奈川県のホームページをチェックしてみてください。

