【行政書士が解説】宅建業免許は承継できる?できない?事業承継パターン別の必要手続き一覧

すずき行政書士法務事務所は横浜市中区石川町の元町商店街に事務所を構えており、事業承継に伴う許認可申請、法人設立、遺言書作成などのお手伝いをしています。

今回のコラムは、「宅建業免許の事業承継パターン別の必要手続き」についてです。

目次

はじめに

宅建業を営む事業者にとって、事業承継は「経営の引継ぎ」だけでなく、「宅建業免許の取り扱い」が大きなポイントになります。宅建業免許は、原則として「人(個人または法人)」に付与されるため、承継の方法によって必要な手続きが大きく変わります。

本コラムでは、代表的な事業承継のパターンである

  • 親族内承継
  • 従業員・役員承継
  • 第三者承継(M&A)

の3つに分けて、宅建業免許の手続きの違いをわかりやすく整理します。

宅建業免許の基本的な考え方

宅建業免許は、「人(個人または法人)そのものに付与される免許」です。基本的な考え方は以下のとおりです。

個人事業主の場合

個人が死亡・廃業すると宅建業免許は消滅し、承継することはできません。そのため、誰が引き継ぐ場合でも「新規免許申請」が必要になります。

法人の場合

法人が存続する限り、宅建業免許も継続します。株式の承継や役員変更で経営者が変わっても、宅建業免許自体は引き続き利用できます。ただし、代表者や役員、専任の宅地建物取引士に変更があれば、変更届出が必要です。

各事業承継パターンの手続きの進め方

親族内承継

個人事業主の場合

個人の免許は承継できないため、次の手続きが必要になります。

  • 親族後継者が新規免許申請
  • 旧代表者の廃業届

事業の空白期間を避けるため、廃業と新規申請のタイミング調整が重要です。

法人の場合

株式を親族に承継することで法人が存続するため、宅建業免許は継続します。必要な手続きは以下のとおりです。

  • 代表者変更届
  • 役員変更届
  • 専任の宅地建物取引士の変更がある場合は変更届

比較的スムーズに承継できるパターンです。

従業員・役員への承継(親族外承継)

個人事業主→従業員・役員へ承継の場合

個人免許は承継できないため、

  • 法人成り(新法人設立)
  • 新法人で新規免許申請
  • 旧個人事業主の廃業届

という流れが一般的です。

法人の場合

株式譲渡や役員変更により承継が可能です。必要な手続きは親族内承継と同様で、

  • 代表者変更届
  • 役員変更届
  • 専任の宅地建物取引士の変更届(必要な場合)

となります。免許の新規取得は不要で、事業を継続しやすい承継方法です。

第三者承継(M&A)

株式譲渡による承継(会社のオーナーが変わるだけ)の場合

法人が存続するため、免許はそのまま利用できます。 必要な手続きは以下のとおりです。

  • 代表者変更届
  • 役員変更届
  • 専任の宅地建物取引士の変更届(必要な場合)

宅建業の第三者承継(M&A)では最も一般的な手法です。

事業譲渡の場合

宅建業免許は承継できません。そのため、

  • 譲受会社は新規免許申請
  • 譲渡会社は廃業届または事業縮小の届出

が必要になります。

宅建業免許の承継で注意したいポイント

まとめ

宅建業の事業承継では、承継の方法によって必要な免許手続きが大きく異なります。

「免許がそのまま使えるケース」と「新規取得が必要なケース」を正しく理解しておくことで、事業の引継ぎをスムーズに進めることができます。

宅建業免許手続きは、事業承継の計画段階から検討しておくことが大切です。

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